2012年4月17日火曜日

★ 「アーミッシュ」対「新求道共同体」−3 - :〔続〕ウサギの日記


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★ 「アーミッシュ」 対 「新求道共同体」−3

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「世界」の中に在るが、世界には属していない

アーミッシュ は、象徴的にも社会的にも一般の世界から分離された状態を保ち続けている。


どのように私は、プロファイル/機能の記事を書くのですか?

彼らの言語(英語社会のアメリカの中にあったドイツ語の訛りであるペンシルヴェニアダッチを話す)、ユニークな衣類、馬とバギーによる交通、そして生活の灯りとしてのランタンの使用は、我々から彼らを分離している。彼らは最新の技術による産物を取り入れることを躊躇するため、二つの世界のギャップは広くなる。また、本当の社会的境界も存在する。かれらは、職業団体、地域の役員、政党といった公職や公の団体には参加しない。若者が公立学校へ通うことはほとんどない。アーミッシュ固有の学校で8年間の教育を受けると、その後一般の高校や大学に進むことは禁止されている。地方選挙では、政治に関した事務所を開くことはけっしてない。電気の禁止は、テレビや他の電気メディアといった現世の価値から 、彼らを守っている。学校、工場、店舗など、アーミッシュ・コミュニティの色々な社会施設は、外部の影響を遮蔽する。仕事、礼拝、学校、工場、遊びといった彼らの生活のほとんどは、家族と教会を軸にして展開されるのである。銀行、近代医学なども、他の専門的サービスと同様に利用するが、政府の補助金は辞退する。


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外部からの脅威を受けたどの集団もそうであるように、アーミッシュは、自分たちを防衛するための戦略を発達させてきた。ユニークな衣服、なまりのある言語、交通手段、農業のやり方など、独特のものであり、異文化集団である彼らを囲む柵を象徴しているし、近代社会を寄せ付けない。外部の世界と文化的に関わりを持たなかったため、コミュニティを近代化の罠から守ったのである。

アーミッシュはよい隣人である。しかし、非アーミッシュの人たちとの関係が親密になることは極めて稀だ。外の世界の人々との結婚は禁じられている。

新求道共同体 はどうだろうか。

彼らも「世界」の中に在るが、世界には属していない。しかし、それは、およそ正当なキリスト教は元来全てそうあるべきである、と言う意味においてである。グローバル化した現代社会。世界はすっかり世俗化した。回心して洗礼を受け、福音を信じるキリスト者は、本来この「世俗」を捨てて神の国の市民になったはずだった。いわゆる出家と在家を使い分け、世俗的精神ににどっぷり浸かって世俗的生活をするキリスト者と、世俗を捨てたシスターや修道司祭という方便の使い分けは、福音書に書いてあるキリストの教えにはなじまない。新求道共同体の理想は、この世の中に生きながら、この世の精神で生きることをやめて、福音の理想を生きようとする集団のはずである。


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ナザレのイエスが、洗礼者ヨハネから洗礼を受けたのち、直ちに砂漠に退いて、「世界」の王、「この世俗社会の覇者」である悪魔(サタン)の誘惑を受けたときのやり取りを見れば、その原点がはっきりする。

イエスは悪魔から誘惑を受けるために、「霊」に導かれて荒れ野に行かれた。悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世の全ての国々とその繁栄ぶりを見せて

「もし、ひれ伏して私を拝むなら、これをみんな与えよう」

と言った。すると、イエスは言われた。

「退けサタン。『貴方の神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」

そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。(マタイ4:8−11)

「世があなた方を憎むなら、あなた方を憎む前に私を憎んでいたことを覚えなさい。あなたがたが世に属していたなら、世はあなたがたを身内として愛したはずである。だが、あなた方は世に属していない。わたしがあなた方を世から選び出した。だから世はあなた方を憎むのである。」(ヨハネ15:18−19a)


これらの聖書の言葉には、ナザレのイエスが「この世」(世俗社会)をどのように見、弟子たちにどのように教えたかが現れている。実は、これは本来全てのキリスト者が基本姿勢として身につけていなければならないものである。しかし、残念なことに、4世紀半ばにキリスト教徒に対する迫害が終焉し、キリスト教がローマ帝国の国教的存在に取り立てられた時点以降は、キリスト教の主流派によって忘れ去られた、単なる理想となってしまった。

それに対して、あくまでこの精神に忠実であろうとする点においては、アーミッシュも新求道共同体も全く同じである。しかし、新求道共同体はアーミッシュのように世界と自分たちの共同体との間に、300年前のライフスタイルに固執して柵を設け、異文化の別の世界を構成するようなことは、将来も決してないだろう。

カトリック教会において、アーミッシュに近いものを探すとすれば、それは生涯塀の中に生活するいわゆる隠修士たち、観想生活を営む修道士・修道女たちがそれに当たるのかもしれない。イタリアのカルトゥージオ会やフランスのシャルトルーズなどの古いタイプは日本には上陸していないが、函館のトラピストや、八ヶ岳の麓に新しい修道院を建てたベネディクト会などは知る人ぞ知るである。女子では、トラピスチンやカルメル会やクララ会、ドミニコ会などの観想修道会がそれに相当する。


アーミッシュがプロテスタントで家族持ちなのに対して、カトリックの観想修道者は独身である点は好対照であるが、「世界」または世俗社会との間に柵を設け、数百年前の服装や古い生活習慣を守ることを通して自分たちをそこから隔離する点では、両者の間に共通するものがある。

新求道共同体の場合にもし柵があるとすれば、それは服装や、居住地域や、生活習慣といった目に見える物理的なものではなく、ナザレのイエスが教えた精神を霊的に内面化して、心の中に精神的な柵を築くことによって、世間の中に散在しながら世間を離れた精神的絆で互いに結び合っていると言えるだろう。

アーミッシュが大家族を営む生活人であるように、新求道共同体も子沢山の家庭生活を営み、社会生活の中で職を得て生計を立てる点ではアーミッシュと同じである。

《 つづく 》



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